はじめに
近年、HDD(ハードディスクドライブ)に代わって、軽量・高速なSSD(ソリッドステートドライブ)が主流となっています。物理的な駆動部分を持たないため衝撃には強いとされていますが、その反面、電気的なショートや水没、物理的な折れ曲がり等によって基盤が損傷すると、データへのアクセスは極めて困難になります。
特に、SSDの頭脳ともいえる「コントローラーチップ」が完全に沈黙してしまった場合、従来のソフトウェア的アプローチは一切通用しません。今回は、そのような絶望的な状況からいかにしてデータを救出するのか、当社の高度なサルベージ技術の片鱗をご紹介します。
コントローラーチップの役割と破損の深刻さ
SSDのデータは、NAND型フラッシュメモリチップの中に保存されています。しかし、データは単純に書き込まれているわけではなく、各メモリチップへの分散書き込み(ウェアレベリング)や暗号化が施されており、これを統括しているのがコントローラーチップです。
そのため、コントローラーが物理的に破壊されると、たとえメモリチップ自体が無事であったとしても、中のデータは意味を持たないノイズの塊としてしか見えなくなってしまいます。
「チップオフ」技術による直接アクセス
このような障害に対し、当社では「チップオフ(Chip-off)」と呼ばれる物理的アプローチを行います。
これは、破損した基盤からNANDフラッシュメモリチップを物理的に取り外し、専用の読み取り装置(リーダー)に直接接続して、生のデータ(ダンプデータ)を抽出する技術です。クリーンルーム内において、チップを熱で傷めないよう精密な温度管理のもと、専用のマイクロソルダリング装置を用いて慎重に剥がし取ります。
生のデータからの再構築
チップオフによって抽出されたデータは、そのままでは解読不可能な断片です。ここからが、エンジニアの腕の見せ所となります。
当社では、各メーカーのコントローラーが採用している独自のウェアレベリング・アルゴリズムや、暗号化のパターンを解析する専用ツールを内製しています。さらに、先の記事でも紹介した次世代アルゴリズム「オムニバス・コア」を活用することで、パズルがバラバラになった状態から元の配列を推論し、論理的なデータ構造(ファイルシステム)へと再構築していきます。
このプロセスは膨大な計算量とエンジニアの深い知見を要しますが、これにより、基盤が真っ二つに割れたスマートフォンや、火災で外装が溶けたSSDからでも、高い確率でデータを復旧させることが可能となっています。
おわりに
「もう復旧できない」と他社で診断されたメディアであっても、記録チップそのものに致命的な損傷がない限り、データ救出の可能性は残されています。
株式会社オムニバス・アーカイブは、物理的限界に挑むハードウェア技術と、高度な論理推論アルゴリズムを融合させ、お客様の大切なデータを最後の一片まで諦めずに復元いたします。SSDの深刻なトラブルでお困りの際は、ぜひ当社の特急プラン等のサービスをご検討ください。
OMNIBUS ARCHIVE